『ね、影月、幸せだね』
口癖のようにそう言っていた人がいた。
しくしく泣いているとき以外は、いつだって笑ってい
たひと。
『約束だよ。
悲しいとき以外はなるべく笑うこと。
いつだって生きることをあきらめないこと。
後ろを振り返らずに、前に進みなさい。
……いつまでも、君を愛しているよ』
涙で視界がぼやけた。
それでも必死に笑顔を浮かべながら影月は『さよなら
』を告げた。
二度と会うことのない、この世の誰よりも愛する人へ。
堂主様(影月の育ての親)管飛翔(工部尚書)欧陽玉(工部侍郎)他