「……悪いほうに
変わっていってんのは
おめえなんじゃ
ねえのか?
五葉は
おめえにとって
なんだ?」
「おめえに
とっては?
政
おめえに
とっては?
五葉ってのは
悪さの集団だ。
松や
おめえが
何
見い出したのか
知らねえが
それ以上の
もんは
必要ねえ。
今も昔も
俺はそう
思ってるが?
何が
してえんだい
梅?」
「おう。
これ
おめえに
だ。
政の妹から
礼だとよ、
守り袋。」
「何故
おぬしのような
町人に幸殿が…
幸殿は
我が許婚。」
「…かんざし
やった
礼だろ。」
「かんざしを?
嫁入り前の
女子に
かんざしを
贈るなど…」
「顔に出ない
だけで
酔ってるの
かしらねぇ。」
「…うるせえ
な
欲しいなら
おめえに
やるよ。
どうせ
しねえし…」
「幸殿の
手による
ものを
そのように…
許さん
表に出ろ!」
「…これだから
侍は嫌え
なんだ。」
「青白え
顔だな。」
「…弥一殿
こそ。」
「つとめを
前に刀の
手入れか?」
「…五葉の
つとめでは
刀を使う
つもりは
ござらん。」
「俺を守るとか
云って
ねかったか?」
「それは…
峰打ち
などで。」
「金への執着が
奴には
感じられねえ。
前々から
気にはかかってた
…全く
いまさらな話
だけどさ。
おめえらだって
胸のうちでは
同じ事
考えてるだろう。
口に
出さねえ
だけで。」
「…前々から
胸のうちに
あったものを
今、口に
するように
なったと
云うのは…」
「分かってる事を
わざわざ
口にするのは
野暮だ。
分かってる
けど、
口に
出さねえと
収まらねえ。」
「…近頃、
五葉は
どこか
不穏で
ござるな。」
「政、
そいつも
野暮だ。」
「失礼
つかまつった。」
「秋津は
まだだ。
文之助殿と
申されたな。
秋津は
秋津なりに
頑張っているぞ。
おせっかいにも
仕官の口を
世話しようと
しているが
奴は悩んでいる。
人目を
不得手とする
性質を正して後に
再仕官するのだと
心に
決している
ようだ。
浪人として
おくには
もったいない
誠実な
男だ。」
「弥一殿は
語っては
くださらぬ。
故に某は
ご隠居の元を
訪ねる事に
いたした。
思い悩まず
思うままに
行動して
みようと。
これは
弥一殿から学んだと
某が思っている
事でござる。
それを
お伝え
いたしたく
いま
ひとつ。
弥一殿に
お伝えせねば
ならぬ事が。
弥一殿の
墓の場所で
ござる。」
「…望む
ものは?
…ないのか?
その若さで。
おぬしの
まわりには
何も
見えんな。
霧に
包まれて
おるようだ。
霧が、
その身を
守れば
よいが。」
「手下じゃ
ねえ。
頭じゃ
ねえ。
隠居、
孝行息子だ。」
「…よいから
降りて来い
梅。
雨の
落ちぬ所に
おれば
よいのだ。
晴れた日に
お前さんに
頼もう。」
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