「こいつ
俺と同じ
くらいだ。
いい
着物だな。
…俺は
こんな身なり
だけど、
でも
こいつのほうが
不幸だ。」
「俺ら三人
木見って
村の出
なんだ。
おめえも
同じように
名乗ればいい
じゃねえか
霧中なんて
訳分かんねえの
なんてさ。
霧中で
いいのか?
村で
面倒
起こして
兄貴らも
俺も
もう戻れ
ねえんだ。」
「好きな所に
行って、
酒を
呑め。」
「付き合っちゃ
くれないの
かい?」
「次に
会った時
にな。」
「賊は
西に
逃げた。」
「秋津は
しばらく
休みが
欲しいと、」
「今朝方
そう
告げに来た。
ここしばらく
様子が
おかしかった
からな
弟が江戸に参って
気が張って
いたのだろう。」
「道場は
大丈夫か?」
「腕も
大分いい。
道場破りにでも
参られると
焦るがな。
まあ
看板など
いつでも
書けばよいと
秋津は云ったな。」
「心配かけて
ごめんね
おとっつぁん
政さんも。
ご隠居さんの
所に行ってたの。
魚を
買いに出た
帰り道
あの人に
会ったの。」
「…と
云う具合に
白楽一味に
ついて
探索をして
いたので
あります。」
「目明かしの
咲造から
聞いた。」
「なっ…」
「何故
今になって
話した?」
「や、その…
まあ手柄の
ひとつをと…
しかし
行き詰って
しまったので
ご報告をと…」
「正直な
男だ
まあいい
引き続き
探索しろ。」
「しかし
顔色が
優れない
ようだが
この薬
自分に使って
いるんじゃ
ないのかい?
別の薬を
調合して
出す事も
できるが。」
「顔色が
優れないのは
あんたもだな
喋ったな?」
「…弟と
再会できた
事は
嬉しいが、
なかなか
難しいのもので
ござるな。
梅殿の
元に戻り
話の続きを
致さねば…
…と
某
喋り過ぎで
ござったかな。
おかしな
ものでござる。
以前は
己の事を
語るのを
某も避けていた。
しかし
弥一殿
には
出会って日も
経たぬ内から
何かと喋って
ござったな。
その度に
『つまらぬ』と。」
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